« 第83回葩会 The 83th hanabirakai | トップページ | 野の花  Wild flowers »

魚籠(biku) a fish basket

Img_5717_2 先日の茶会の床の間です。

花入は、漁師さんが捕ったお魚を入れていらした、魚籠です。腰に巻きつけていらしたと思われる紐が付いていたので、その紐で結んで掛花入にしました。先月、天神さんで購入しました。500円でした(1000円のところを半額にして下さいました)。針金、紐等で、何べんも直され、大事に大事に使われたのだなあ・・ということがとてもよく伝わってきました。深い茶色なので、煤竹かなあ・・と言いますと、こんなもんに煤竹なんか使わへん。長い間使ったから、こういう色になったんやで。と、教えて下さいました。この籠の中には、どれだけたくさんのお魚が入ったのだろう、どんなお魚が入っていたのだろう、どなたが使われていたものなのか、全くわかりませんが、この籠の中には、いろんな物語がいっぱい詰まっているような気がしました。

この魚籠に出合って初めて、千利休が、桂川の漁師さんが使っていらした魚籠を、茶席の花入として使ったことを、自分のこととして、実感することができました。茶会で風炉の替わりにカセットコンロを使った直後だったので、すごいタイミングやなあ・・と思いました。何かに、戻れ。というメッセージのような気がしました。利休がみつけてきた籠、通称、桂籠を写して作られた新しい竹籠の花入は、1,2万円で売られていて、この物語が一杯詰まった籠は、500円で売られている。何か、とても感慨深いものがありました。そして、私が千利休だったら、とても悲しいだろうなあ・・と思いました。

天神さんでこの籠を見ていたとき、近くにいらした方が、「これ、何に使うつもりや?」と、聞かれたので、「落しを入れて、花入に使います」と言いますと、「そうやろなあ、それ以外は、もう使い道あらへんなあ。そやけど、これ、今新しく作ったら、とてもこんな値段では買えへんでぇ・・」と言われました。利休の桂籠は、実際に漁師さんが使っていらした魚籠を譲り受けられたということのようですが、今は、魚籠は、古道具市で500円で売られるようなものになりました。確実に、長い年月が流れたのだなあ・・と思いました。

I used a fish basket as a flower vase. Several hundreds years ago, Sen Rikyu, a very famous tea master had used a fish basket as a flower vase. He found the fish basket by the river and was given by a fisher man. But I bought it at an antique market. Because  a fisher man don't use these fish baskets nowadays. Tea utensils are very expensive. But it was very very cheap, 500 yen.

この籠に出合って、初めて、わびということが、どういうことなのかが、わかりました。私には、今のお茶は、贅沢茶にしか見えなくて、どこがわび茶なのか、さっぱりわかりませんでした。

昔、わびの道具と言われていたものは、今は、美術館の展示品、あるいは、高価で売買される美術品となり、仮に、昔のわび草庵と言われるような茶室を今作ろうとすると、茶室1つに、家一軒建てる以上のお金がかかったりします。わび茶なんか、今はもうなくなってしまったのでは?あるいは、もともとなかったのかも・・・、などと思い始めていたのですが、この魚籠に出合って、わび茶はちゃんとあったんや、と思いました。まるで、月にかかった雲が、取り除かれたようでした。月はいつもちゃんとあったのに、雲がかかって、見えなくなっていただけでした。

私が今思っているところのわび茶人とは、他の誰も気付かない、目にも留めない、あるいは、がらくたのようになっているものを、茶席の中に茶道具として取り上げ、それを、誰もが認める茶道具たちと同じように、いやそれ以上の道具のようにすることができる人のことで、その人がするお茶がわび茶なのではないかなあ・・・と思います。桂籠、竹の花入、野の花。こういったものがそれにあたるのではないかなあと思います。先日、デパートで、竹の花入が、何十万円から何百万円で売られていましたが、こういうことをすると、せっかくのわびの心を踏みにじることになるのではないかなあ・・と思います。

高いお金を出して、新しい写し物の道具を買うより、私達の先祖が大事に使ってきた、でも、もう今の時代には実用品としては使えない、がらくた、ごみのようになってしまったものを、茶会で使ったらどうだろう。お金はあまりかからないし、ものを大事にする心が養われるし、資源を大切にすることができるし、先人の心、それこそ、伝統を受け継ぐことになるのではないかなあと思いました。茶会では、ほんとにたくさんの道具を使うので、これは、茶人だからできることかもしれないなあ・・と思いました。

« 第83回葩会 The 83th hanabirakai | トップページ | 野の花  Wild flowers »

茶会 chakai : tea gathering」カテゴリの記事

茶道具 chadougu : tea utensils」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/168789/17123762

この記事へのトラックバック一覧です: 魚籠(biku) a fish basket:

« 第83回葩会 The 83th hanabirakai | トップページ | 野の花  Wild flowers »

フォト
2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

最近のトラックバック

無料ブログはココログ